I'm home!
しくった。
自分を取り囲む禍々しい妖気の輪に、幽助は舌打ちをする。
魔界の深層部には、どれほどの強者がいるのか。
ちょっとした好奇心だったのだ。
自分やトーナメントの存在を知らないことを考えると、ここには煙鬼の統治は及んでいないらしい。
妖気の輪が縮み、徐々に間合いが狭まる。
自分と同等か、あるいはそれ以上の力を持つ者が、ざっと五十人はいる。
幽助の髪が逆立った。
『恐怖』を感じたのは、もう何時ぶりかわからない。
―――幽助
不意に声が聞こえた。
凛とした、けれど優しくて安心する声。
―――幽助
顔が浮かんだ。
振り向きざまの、温かくて綺麗な笑顔。
帰って「ただいま」と言って、彼女を抱き締める。
そう決めた。
だから。
「負けらんねェよなぁ…!」
先手必勝。
幽助は妖気の輪に向かって飛び込んだ。